2014年8月17日日曜日

『空白の5マイル』と僕の早稲田大学探検部での活動

先日、(というかもう3年以上前にも読みましたが)一冊のノンフィクションの本を読みました。
タイトルは「空白の5マイル」 著者は角幡唯介さんです。
高価で厚い本ですが一気に読んでしまいました。
僕は、昔からノンフィクション関係の本(本多勝一、柳田邦夫、立花隆、沢木耕太郎、鎌田慧、船戸与一、西木正明、恵谷治、関川夏央、足立倫行、藤原新也、等.)はかなり読み込んでますが、
この本は多分、日本のノンフィクション史に名を残す名著でしょう。
綿密なリサーチ、現場での命がけの取材、それを読者に一気に読ませる技巧で極めて優れた文章でまとめています。
僕の勝手な想像ですが、この本を書くために費やした、時間、労力は普通の人間からしたら、一生分のエネルギーくらいのものがあると思いました。
何故、僕がこの本を絶賛するかというと、僕自身、この著者と同じ早稲田大学探検部に所属していたことがあって、著者と同じように、チベット文化圏を二度ほど訪れた経験があるからです。
一度目は大学2年の時、同期の仲間と遠征隊を組んで、チベットの西にあるカイラス山までトラックをヒッチハイクして到達しました。
遠征に費やした期間は2か月半。現地では食べ物もあまりなく、本当に苦しい遠征でした。
当時のチベットは、中国の監視下に置かれていて、入域するのも困難との情報が出回っており、ラサに入ることさえも難しいと言われてました。
まして、西チベットのカイラス山に至っては、外国人が足を踏み入れるのも極めて難しい聖なる山でした。
世界中の探検・冒険愛好家の憧憬の山でした。
僕らはなんとか、憧憬の山カイラスに到達して、カイラス山の周りの巡礼路約50キロを2日かけて一周しました。

標高5000メートルを超える巡礼路50キロを20キロの重さのあるザックを背負って一周するのは、本当に苦行のようなものでしたが、年を取って思い返してみると、僕の人生経験で一番の大きな経験だったと思ってます。


二度目のチベット訪問はインド領のプラマプトラ川川下りです。
世界で初、人類史上初の未踏部分の「謎の川川下り」でした。

川のスケールは日本の川と比較にならず、その水量、複雑に入り組んだ地形、落差はアメリカのグランド・キャニオンを流れるコロラド川を超えるスケールとされてます。

実際にこの川下りの時はインドの精鋭部隊(インドのオリンピック選手もいました)と組んでの本格的な遠征隊でした。

ラフティング(川下り)ガイドもきちんと、アメリカでラフティングガイドのライセンスを取得してきた人で、日本でのラフテンィングと比べると、レベルの差は歴然としてました。


この冒険行は    "神の河"ブラマプトラの激流を下る』
日印合同ブラマプトラ遠征隊の記録「神の河 プラマプトラを下る河川下り」

として、日本ヒマラヤ協会から一冊子として出版され、国会図書館にも所蔵されてます。

僕のプラマプトラ川の川下りにあたっての報告・感想
        「ブラマの水の味」はこちら
                 ↓
http://uedon.blogspot.jp/2015/04/19911991.html


また、この遠征隊にフジテレビの畑正憲さん(ムツゴロウさん)の一行も参加して、金曜ファミリー劇場という番組の中で、プラマプトラ河流域の人々の暮らしや自然が紹介されてます。


一つの番組になるぐらいの記録を得られる、貴重な土地でした


遠征に関しては朝日新聞のスポーツ欄にも遠征のことが掲載されました。


僕の二回のチベット文化圏の訪問はこのように、非常に中身の濃い訪問でした。

角幡さんは、この地を何度も訪問し、チベット文化圏の探検・冒険の歴史、その土地のこと、
を詳細に調べ上げてます。一冊の本にこれだけの労力をかけている本は久しぶりで、ノンフィクションの本でも、これだけの本は近年まれに見る一冊です。

ノンフィクション物は一事件を詳細に追ったもの、一人物を詳細に追ったもの、一地域を詳細に追ったもの様々ありますが、探検・冒険ノンフィクションで、これだけの本はあまり、読んだことがありません。

昨日は少し足を伸ばして、高田馬場の芳林堂書店まで行きました。山岳関係の棚も覗いてきました。1991年に起きた、京都大学登山隊が参加した、日中合同学術登山隊の「梅里雪山」での山岳事故の際の捜索記録の本があり、手に取ろうかと思いましたが思いとどまりました。僕が参加したインド領、チベット文化圏、プラマプトラ川川下りの最中に起きたインドのお隣、中国のチベット文化圏、雲南省の聖なる山、「梅里雪山」登山挑戦中に起きた、山岳遭難事故の捜索記録でした。

角幡さんの著書、「空白の5マイル」も棚にあるかと思い、探してみましたが、残念なことにありませんでした。

僕から見ると、この「空白の5マイル」という本も山岳コーナーに置いてあっても間違いではないと思うのですが、芳林堂書店では山岳コーナーに置いてませんでした。僕の個人的な感想ですが、是非、この「空白の5マイル」は山岳コーナーにも入れてほしいと思いました。
それくらい、きちんとした探検・冒険ノンフィクションの本だと僕は思ってます。

昨年、この本の著者の角幡さんと、早稲田大学探検部OB会でお目にかかることが出来ましたが、体全身から、オーラが出ていて、尋常でない雰囲気がありました。本当は僕が大金を払って買った、単行本にサインをして欲しかったのですが、怖くて言い出せませんでした。

多くのものに接してきたので、いろいろと考えるところもあるかと思いますが、早稲田大学探検部に所属していた先輩として、又、僕が学生時代に二度訪問したチベット文化圏をこれだけ詳しく調べて、取材して、本にまとめているので、角幡さんには、これからは、ひとりの人間として、幸せな人生を送って欲しいと思いました。

絶賛するのは余り好きではありませんが、ノンフィクション史(特に探検・冒険ノンフィクション史)に残る名著だと思うので、僕の早稲田大学探検部時代の経験も書き加えて、ブログに載せてみます。

でも、この本を読んで、早稲田大学探検部に入部したいといってきた新入生がいたら、上級生はビビるかもしれないと思いました。(蛇足でした)

空白の五マイル
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著者:角幡唯介
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