「チベットの聖山、カイラス」
1988年夏チベット探査計画書を読んでいたら、チベットの聖山、カイラスについての記述がありました。計画書からカイラスについての記述を抜粋してみて、カイラスについて考えてみようと思います。
カイラス
カイラスとはチベット西部にある標高6656mの高山である。まわりには他にそれほど高い山はなく、又男根にも見える独特のかたちから、古来、見る人々の心に何かを喚起させてきた。このカイラス山はその神秘性ゆえに、チベット仏教(ラマ教)、ヒンドゥー教、ボン教(チベットの原始宗教)の3つの宗教の聖地とされている。これは世界的に見ても他にはエルサレムしかなく、いかに宗教的な地かがわかる。カイラスは巡礼地の定義のようにそれぞれの宗教の栄えている土地(チベット中部、西部、インド、ネパール)からは辺境の地にある。このカイラスには、毎年多数の巡礼者が訪れ、かれらの祈りを捧げてきた。
カイラス巡礼について
1周50km、一般にチベット人は一泊二日で廻る。(cf.NHK取材班3泊4日)巡回礼者が多いのは3月~8月。内廻り(ナンギコル)、中間廻り(パルコル)、外廻り(チイコル)の3種があり、普通の人は外廻り。21回(13回?)廻ると、神か仏の廻る内廻りに行けると言われる。
以上のような記述がカイラスについて計画書に載っていました。
カイラスは3つの宗教の聖地と記述がありますが、実はジャイナ教でも聖地とされています。極めて宗教的な色彩の強い場所で、僕がカイラス巡礼をした際にも、何かトランス状態になっている方を見たことがあります。カイラス巡礼路の最高標高点はドルマラ峠という場所で標高5660mの峠で、僕もこのドルマラ峠がきつくて、重さ約20キロある100リトルザックを背負って、一人でドルマラ峠を通って、本当に地面に這いつくばるようにドルマラ峠を越えました。酸素も薄くて呼吸をするのも辛くて、僕が57年生きてきて、今までの人生の最高標高点が標高5660mのドルマラ峠です。本当にカイラスの周囲の巡礼路は苦行をするような道で、カイラス到達までの苦難の旅路の末に辿り着いた、カイラスで一番きつく、辛い体験を僕はしました。
仏教の修行にも似ていると思いますが、本当に苦しく辛い経験をしました。まだ、年齢が20歳と若くて、気力、体力とも充実していて、何とか出来たカイラス巡礼だったと思っています。宗教を信じる信じないの良し悪しは僕には分かりませんが、精神的にも肉体的にも限界になるような苦難のカイラス到達の旅路、カイラスに到達してからの地面を這いつくばるようになんとか乗り越えたドルマラ峠と、カイラスとは、遊びに行くような場所ではなく、何か心の拠り所を求める人達が行く場所だと僕は思いました。
チベットの方々はカイラス山に向かって本当に五体投地をして祈りを捧げていました。僕にとっても本当に大事なことを教わった場所がカイラスだったと思っています。
11月30日土曜日の高田馬場チベット料理屋での中島さんと吉澤さんとの会合ではカイラスに行かれて、カイラス巡礼もされている中島さん、吉澤さんと会えるので、カイラスの思い出についてもお話が出来れば良いなと思っています。
以上、「チベットの聖山、カイラス」
ブログに載せます。
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