2024年11月24日日曜日

「チベットの水力発電、地熱発電」

 「チベットの水力発電、地熱発電」

  僕の部屋を探していたら、1988年夏チベット探査計画書が見つかりました。

  1988年夏チベット探査計画書の中から、「チベットの経済」という章をブログに載せたいと思います。とても興味深いこと、水力発電、地熱発電のことが書かれているので、「チベットの経済」という章をブログに載せます。

  「チベットの経済」

 チベットと言えばいつくかのイメージと共に牧畜という言葉が思い浮かぶ。地理的条件、厳しい気候等により農耕生産が極めて限定されてきたなかで、牧畜業は産業の中心であり、現在もその比率は大きい。このことは、牧畜業と結合した多角的な発展がチベットにおける農業政策の目標の一つであり、畜産品を原料とする軽工業生産を発展させる事が工業政策の目標の一つとなっていることがことからも明らかである。又、牧畜業の健全な発展が目標とされる一方で、近年、天然資源の開発が注目されている。中国の調査によりチベットでは莫大な量の天然資源が眠っていることが判明した。その天然資源埋蔵量の多さは中国の中でも上位に位置すると言われ、その開発が進めばチベットの経済に大きな影響を与えることは必至と思われる。そういった意味でチベットの経済は今後、大きく転換する可能性を大いに秘めていると言えよう。これから以下に記すことがらは中国政府発表の資料を参照したものでありいくらか政治的意図のもとに発表されたものであることを断っておく。

  農業

  チベット自治区は、地形から蔵北高原、アリ地区(西北ルドク地方)蔵南谷地(ツァンポ流域)、蔵東横断山脈渓谷地区の4つの自然区に分けることができる。蔵北地区、アリ地区は広大な天然の牧場がひろがり、チベットの最も広い牧畜業地帯となっており、主にヤク、羊毛、山羊、馬などが放牧されている。蔵南谷地は、チベットの農業地帯で、チンコー、小麦、アブラ菜、リラ、エンドウ、ソバなどが栽培されている。(1980年、チンコー56%、小麦24%、エンドウ等20%)。チンコーとは、ツァンパの原料、家畜の飼料となる物で、生育期間が短く高原での栽培に適しているため、その種面積は、チベット全区で50%以上にも及ぶ。又、蔵南谷地の林芝、米林の一部の地区と波密、墨脱、察隅の大部分の地区は、平均標高が3000m以下で、気候は比較的温和であるため土地は肥えており、森林が繁茂していて、亜熱帯作物も耕作することができる。墨脱、察隅では、茶、稲の栽培が行われている。

  鉱物資源

  チベットの地下資源は非常に豊富である。その種類はホウ砂、クロム、銅、鉄、石炭、雲母、天然硫黄、鉛、亜鉛、コバルト、モリブデン、重晶石、塩など約40種にも及ぶ。とりわけホウ砂、コバルト、銅の埋蔵量においては、中国でも上位に位置する。

  水資源

  チベットの河川は流れが急で降雨量も他の地区と比べ比較的多く水資源は極めて豊かであると言える。中国の調査によると、全自治区の水力発電包蔵量のほぼ293%をも占める。又、水資源以外にも豊かな地熱資源も有している。

  森林

  チベットでは310万ヘクタールにも及ぶ森林資源があり、天然林蓄積量は61億平方メートルにも達する。森林には様々な植物が生育し、その種類は4500種をこえ、世界でも珍しい常緑雲松、雲杉(spruce)、鉄杉(hemlock)などが自生する。

  工業

  解放後、近代工業、手工業とも発展の経過をたどる。近代工業部門では、電力、コバルト鉱、石炭、化学工業、建築材料、機械森林化学工業、毛紡、マッチ、製紙、印刷、皮革、食品加工、などの業種が創設され工業産品は52種に及ぶ。又、民族手工業も復活し、1980年末には、集団手工業の数も30を越えている。(人民日報‘80125)。主な製品は、クッション、チベットじゅうたん、チベット布団、チベット風の前掛け、チベット靴、チベット刀、木碗、スーユー桶などで、総生産額もかなりの額が発表されている。

  以上が「チベットの経済」という章に書かれている文書です。

   僕がこの文書の中で興味深いと思ったのは、水資源に関する記述です。水力発電包蔵量のほぼ293%をも占めるという部分がとても興味深いと思いました。

  豊かな地熱資源も有しているという記述もあります。

   日本の大きな問題になっている、原発、原子力発電に代わるエネルギー源として、水力発電も地熱発電もチベットでは大きな可能性があることがこの水資源という記述を読むと分かります。

   チベットのことを考える際にどうしても普通の人たちはチベット仏教の盛んな地域で、仏教のことを考える方が多いと思いますが、原発、原子力発電に代わるエネルギー源としての水力発電、地熱発電の可能性のある地域だという観点からチベットのことを考えてみても面白い視点になってくると僕は思います。

 11月30日土曜日の高田馬場チベット料理屋さんでの中島さんと吉澤さんとの会合では原発に代わるエネルギー源としてのチベットの水力発電、地熱発電のことについてもお話が出来れば良いなと思っています。

  1988年夏チベット探査計画書の「チベットの経済」という章を読んでいたらとても興味深い記述があったので、ブログに載せたいと思います。

  以上、「チベットの水力発電、地熱発電」

  ブログに載せます。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿